2018/11/09更新

【IT業界研究|ハードウェア業界編】日本が置かれる状況〜他のIT領域との決定的な違いとは

今回は、IT業界の中でも「ハードウェア領域」について現役エンジニアが解説します。「市場規模」「職種」「特徴」「適性」「課題」等、さまざまな視点から考察しますので、ぜひ企業研究に役立ててみてください。

ハードウェア業界とは

ハードウェアという言葉をご存知でしょうか?ハードウェアとは、物理的な機器のこと。ゲームが好きな方は「ハード」という言葉に聞きなじみがあると思います。たとえばパソコンは、キーボード、ディスプレイ、ハードディスク、メモリ、マザーボードなどといったハードウェアと、Windows、Officeなどといったソフトウェアの2つで構成されています。どちらかが欠けてもパソコンは動きませんし、優れたソフトウェアがあっても、それを快適に動かすハードウェアが無いと意味がありません。

iPhoneで有名なApple社は、早くからハードウェアの重要性を理解しており、自社でハードウェアとソフトウェアを手掛けていますよね。ソフトウェアとハードウェア、それぞれの動きをお互いに補完しあうことで、優れた操作感を実現しています。このハードウェア業界ですが、1990年代はNEC、東芝、SONY、富士通といった国内のメーカーが世界でも存在感を発揮していました。東芝のダイナブックというノートPCは、10数年にわたって世界シェアNo.1を獲得しています。

その後は中国や台湾メーカーの台頭、PCの低価格化などから徐々にシェアを落とし、最終的にはPC事業を海外他社へ売却をする企業も出ました。昔ほどの勢いは少しなくなってきた国内ハードウェア業界ではありますが、IoT(モノのインターネット)やM2M(機械同士が自動的に情報をやりとりする)といった近年注目されている技術は、ハードウェア業界にとって追い風となることでしょう。

ハードウェア業界の市場規模

IDCジャパンは2016年5月9日、2016~2020年の国内製品別IT市場予測レポートを発表した。2016年の国内IT市場規模は14兆5683億円で、対前年比-0.4%のマイナス成長になるという。

 製品別に見ると、国内ハードウェア市場、国内ITサービス市場、国内パッケージソフトウェア市場予測はそれぞれ、約6兆1768億円、約5兆5003億円、約2兆8912億円。対前年比成長率は、ITサービスとパッケージソフトウェア市場については、対前年比成長率でそれぞれ2.1%、4.6%とプラス成長を見込む。

参考:2016年の国内IT市場はマイナス成長予測、ハードウェア市場が低調──IDCジャパン

さて、ハードウェア業界の市場規模ですが、IDC Japan株式会社が発表した「2016~2020年の国内製品別IT市場予測レポート」によると、約6兆1768億円とのことです。国内IT市場規模が14兆5683億円とのことで、IT市場の中でも大きな割合を占めていることが分かります。

ハードウェア業界の職種

ハードウェア業界にもエンジニアは存在しています。ここではハードウェア業界特有の職種をご紹介いたします。

組み込みエンジニア

自動車、冷蔵庫、洗濯機などといった、日常に溢れる様々なハードウェアも内部的にはプログラムで動いています。組み込みエンジニアは、こういった様々なハードウェアを制御するためのプログラムを設計し、プログラミングを行います。近年IoTの流行により様々な家電、電子機器がインターネットに接続をしています。こういったインターネットへの接続などを制御するために、家電、電子機器にプログラムを組み込む必要があるのです。そのため、プログラミングの知識はもちろんですが、ハードウェアについても深い知識が身につくというメリットがあります。

ハードウェア業界の特徴

IT業界にもたくさんの分野がありますが、このハードウェア業界も他のIT業界とはまた違った雰囲気があります。個人的な印象としては、より「技術者」としての側面が強く、コミュニケーション力よりもスキル力が重要とされるイメージです。(もちろんコミュニケーション力も大事です。)Web業界のような華やかさはありませんが、日本のモノづくりを影から支えているとてもやりがいがある業界だと思います。また、組み込みエンジニアは長年人材不足といわれて久しいので、このような状況からも若手のエンジニアは歓迎されやすいといえるでしょう。

ハードウェア業界の適性

対象のハードウェアによって少し異なりますが、敢えて一言でいうならば、「正確性」だと思います。Webサイトや業務システムなどももちろん「正確性」は重要であり、不具合はできるだけ避ける必要がありますが、もし不具合が発生した場合は、比較的簡単に修正することが可能です。例えばMicrosoft社のWindowsは定期的に更新プログラムを開発し、機能追加とともにあらゆる不具合を修正しています。また、Webサイトや業務システム野不具合が人命に直結するということはレアケースといえるでしょう。

組み込みシステムはこの点が異なります。家電に組み込まれたプログラムは安易に更新を行うことはできません。また、もし自動車の制御プログラムに不具合があった場合、最悪の場合は事故などが起きる可能性があります。さらに、最近ではスマートフォンやモバイルバッテリーが爆発したというニュースをよく耳にします。その原因の多くは、対応していないケーブルや純正ではないバッテリーを使用したことにより、バッテリーに過度な負荷がかかったことが原因として多いようですが、仮にプログラムに不具合があった場合はこういったものが爆発してしまう可能性もあり、非常にリスクが高いといえます。そのため失敗が許されないハードウェア業界においては、プログラムはもちろん様々なことに対する「正確性」が求められるのです。

ハードウェア業界の課題

前述したとおり、サーバーやPCといったハードウェアについては、日本のメーカーも海外市場で存在感を発揮していた時代がありますが、その後は人件費が安い中国や台湾のメーカー等におされてしまいました。また、スマートフォンの開発も行っていましたが、海外市場ではアメリカのapple社、中国のHUAWEI社、Xiaomi社、韓国のSAMSUNG社、台湾のASUS社などに大きく水をあけられています。

ハードウェアにも様々ありますが、やはりこの分野も二極化が顕著だと感じています。「低価格」「高付加価値」の2極です。HUAWEI社、Xiaomi社、ASUS社などはスマートフォンやPCを低価格で販売することでシェアを爆発的に伸ばしました。もちろんただ安いだけではなく、価格の割には十分だと思える性能を実現しています。一方Apple社などは、ハードウェアだけでなくソフトウェア、さらにはアプリの提供方法、さらにはブランドイメージを高めることで、独自の付加価値を生み出しています。

日本は本来モノづくり大国と言われており、ハードウェアの開発を得意としていました。ハードウェアをつくる技術は十二分にあるのですが、海外市場のニーズを汲み取り、製品に活かす必要があるのかもしれません。また、昨今はクラウドが当たり前に使用される社会となってきました。クラウドとは簡単にいうとインターネット上でコンピュータ、DBなどのリソースを使用できるサービスのことです。これまでハードウェアとして販売してきたサーバーなどはなかなか商売がしづらくなってきています。同じハードウェアでも何から撤退し何に投資をするかの見極め(選択と集中といいます)は非常に重要なポイントになるのではないでしょうか。

現役エンジニアから見たハードウェア業界

この続きを読むためには【無料会員登録】が必要になります。
会員登録後はNTTグループやリクルートなど、人気企業の就活に役立つES回答例や企業研究コンテンツがあわせて閲覧可能です。 無料会員登録はこちら