2019/09/20更新

IT業界に長年勤務して時代とともに働きやすさはどう変わった?90年代初頭から現在まで振り返ってみた

IT業界は進展目覚ましく、毎年何らかの新技術が話題になる、時代の最先端を走っている業界です。筆者はそんなIT業界に1990年代初頭に飛び込み、以来25年以上の長きに渡りこの業界の中で生きてきました。今回は、IT業界への就職を目指している方々を対象に、この業界での働きやすさがどのように変遷したのかについてご紹介したいと思います。

〜1995年:Windows95発売前

IT業界ではいくつものエポックメイキングな出来事がありました。その中でも特筆すべきなのが、1995年のWindows95の発売です。今ではすっかり当たり前になってしまった、「パソコンと言えばWindows」は、このWindows95の大ヒットから始まりました。

Windows95の発売でパソコンのOSはWindowsで統一された感がありますが、その発売前、IT業界はもっとずっと混沌としていました。筆者がIT業界に就職した頃、パソコンのOSはMS-DOSが主流でした。MS-DOSはキャラクタベースなので、操作するためにはコマンドを覚えなければなりません。

何もかも手探りの時代

当時、IT業界への就職は特殊なスキルが必要な難しいジャンルと考えられていて、自分でパソコンを組み立てるのが趣味という人間ばかりでした。プログラム言語もC言語が主流で、会社の研修制度も整備されておらず、インターネットも無い時代です。自分で書籍を買ってきて独学するしかありませんでした。

そうした意味では、非常に働きにくい職場環境だったと思います。統合開発環境も出始めたころでしたが、まだ当たり前というほど普及しておらず、プログラミングはもっぱらテキストエディタひとつでやっていました。今のようにコード補完もしてくれませんし、デバッガも使いにくく、メッセージは全部英語です。本来のプログラム開発以外の部分で、非常に苦労が多い時代でした。

1996年〜2005年:パソコンの本格普及

Windows95が発売されて、パソコン環境は一変しました。それまで主流だったMS-DOSというOSはパソコンメーカーごとに仕様が異なり、A社のパソコン用に開発したシステムはB社のパソコンでは動作しません。しかし、Windows95は、Windows95上で動くシステムを作れば、Windows95が動くパソコンであれば、A社製でもB社製でも動作します。

パソコン用アプリの価格は、一気に安くなりました。これに加え、海外から安価なパソコンが輸入され、ワンセット50万円くらいだったパソコンが20万円を切るくらいまでに安くなりました。IT業界でのシステム開発スタイルもガラッと変わり、それまで主流だったテキストエディタ+C言語という生産性の低い方法から、統合開発環境+VisualBasicという、アプリ開発を強力に後押ししてくれる方法にシフトしました。

プログラミングが少しずつ身近に

この時期になると、会社の研修体制も徐々に整ってきて、プログラム経験の無い新入社員でも安心してプログラム開発ができるようになってきました。職人的な個人個人のスキルに頼る時代から、誰でもプログラマができる時代へのシフトが始まりました。この頃になって初めて、IT業界は万人が参加できる、働きやすい職場になりました。

その一方、インターネットの爆発的な普及に伴うネットワークエンジニアの不足や、データベースの本格普及に伴うデータベースエンジニアの不足が問題になった時期でもありました。インターネットと同時にWebシステムも普及し始め、Javaを使ったシステムも増えてきました。エンジニアとして勉強しなければならないことは、以前よりもずっと多くなりました。

2006年〜現在:スマホの普及

2006年以降のエポックメイキングな出来事は、なんと言ってもスマートフォンの普及でしょう。それまでクライアント環境はパソコンがメインでしたが、スマホの発売以降、パソコンでなくスマホがクライアント環境の主流になりつつあります。

これに加え、Web画面の表現力が以前と比べると桁違いに進化したせいで、今後開発されるシステムのほとんどはWebシステムになるでしょう。Webシステムなら、スマホでもパソコンでも、WindowsでもMacでも動くからです。

研修プログラムの充実

IT業界は社員教育の重要性を認識し、大部分のIT企業では手厚い研修システムを持つようになりました。今では、プログラム経験はおろか、パソコンを触ったことがないという人でも、入社後の教育でシステム開発に必要な知識を身につけられるまでになっています。

また一方で、政府の進める働き方改革に賛同し、残業時間の削減や有給休暇取得の推進など、福利厚生面にも力を入れるようになってきました。IT業界は、20数年前とは比べものにならないほど、働きやすい環境になったといえるでしょう。

まとめ

筆者が入社した頃の1990年代はじめから、現在にいたるまでのIT業界の働きやすさについて、年代ごとにご紹介しました。教育制度はしっかり整い、開発ツールや手法も以前とは比較にならないほど進化しています。そうした意味では随分と働きやすい環境になりました。

ただし、IT業界で昔とあまり変わらない点がひとつあります。それは、常に新しい技術を学ばなければならないということです。IT業界は常に進化し続けています。最近のトピックスだけでも、AIやクラウド、FinTech、IoTなど枚挙に暇がありません。IT業界で働くということは、こうした最新の技術についていかなければならないということを意味します。その覚悟が必要ということを忘れないでください。

image byFreepikによるデザイン