2020/02/25更新

【IT時事問題】軽減税率によって起きたIT業界への負担

令和元年10月1日に、今後の日本経済に対して大きな出来事がありました。それは消費税の増税です。1989年4月の竹下内閣時代に初めて消費税が施行され、消費税は3%からスタートし、1994年11月の村山内閣時代に4%、1997年4月の橋本内閣時代に5%、2014年に安倍内閣時代に8%と増税を続けています。

約20年にわたって、段階的に増税を繰り返してきた消費税ですが、2019年に初めて10%という大台に突入したことになります。超高齢化社会が急速に進行しつつある日本にとって、貴重な社会保障財源となる消費税の必要性は理解できるものの、私たちの生活を確実に苦しめる存在です。この消費税ですが、私たちの生活だけではなく、IT業界にとっても非常に頭が痛い問題なのです。そこで今回は消費税増税とIT業界について考察を行います。

ITエンジニアが消費税増税時に行うこと

消費税増税とIT業界は密接に関わっています。なぜなら、世の中のあらゆるものは、システムによって支えられているからです。では、ITエンジニアは消費税増税時に何を行っているのでしょうか。まずは税率の変更対応です。冒頭で触れたように消費税自体は段階的に増税してきましたし、残念ながらこの先も緩やかに上昇していくと見られています。そのため、世の中で既に稼働しているシステムの多くは、一律で税率を変更できる仕組みを有しています。ただ、令和元年の消費税改正は皆さんもご存知の通り、これまでの増税とは大きく異なるポイントがあります。それは、軽減税率の導入です。

軽減税率とは、低所得者への配慮として特定品目の税率を据え置くというものです。今回の消費税改正では飲食料品と新聞が対象となっています。一般消費者にとっては、一部品目ではあるものの、日常生活にとってウェイトが大きい飲食料品の税率が8%のままとなるため、ありがたい制度かもしれません。ですが、IT業界にとっては、消費税増税に対するシステム改修の難易度を大きく上げる要因となっています。

これまでは各商品に対して適用される税率は1つでしたが、軽減税率の導入により、商品1つに対して「8%」となるのか「10%」となるのかを指定できるように改修する必要が出てしまったのです。さらに複雑な事に、食品は同じ商品であっても「テイクアウト」か「その場で食べるのか」で適用される税率が変わってしまうという点も、消費税増税の対応を難しくしている原因の1つです。

さて、無事に商品ごとの消費税設定の対応が完了できたとしましょう。ただ、これで消費税増税に対するシステム改修は終わりではありません。消費税増税は印刷物に対しても大きな影響が生まれます。私たちにとって最も身近な印刷物といえば,レシートでしょう。レシートには軽減税率の対象品目とそうではない品目の税率を別々に表示する必要があります。このような私たちの目に触れる印刷物はもちろん、企業内部で使用される様々な帳票についても、改修と確認を行う必要があるのです。ITエンジニアはこういった作業を日本中の全ての消費税に関わるシステムについて対応しています。

消費税増税のシステム改修は簡単なのか

「そうはいっても対応自体は簡単なのではないか」と考える方も少なくないと思います。「消費税が8%→10%になった」ということだけを聞くだけだと、あまり複雑に聞こえないからです。ですが、今回の消費税増税においても、日本中でシステム不具合が発生しています。ここでは幾つかの事例をご紹介します。

スシロー

消費税が増税された2019年10月1日、回転ずしチェーンのスシローで、一部店舗の消費税が0%になるという不具合が発生しました。テイクアウトであれど店内での飲食であれど、全く税金が掛からないようになったということですが、年間売上高2,400億円を誇るスシローに大きな損害を与えることになりました。

ミニストップ

コンビニストアチェーンであるミニストップも消費税増税に関するシステム不具合が発生しています。具体的には本来10%の消費税となるべきものが8%で計算されてしまったり、その逆のパターンも発生していたようです。10月1日の0時直後に不具合に気づき、午前3時には復旧したということで、被害は大きくなかったことが想定できます。それでも消費者に対して正しい金額で販売すべき金額に不具合が出てしまったというのは、ITエンジニアとしても残念なトラブルといえるでしょう。

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