2019/09/18更新

SIer市場の現状について現役SEが考察〜就活中は業界動向も注目しておこう

2008年のリーマンショックに端を発した世界的不景気は、多分に漏れずSIer業界にも暗い影を落としました。売上、利益ともに激しく落ち込み、過剰な経費削減やリストラで乗り切った企業も少なくないと聞いています。他の業界は回復もある程度早かったのですが、IT投資に回復の波がくるまでには多くの時間を要しました。リーマンショックから約10年、SIer業界もようやくリーマンショック以前の水準に回復してきました。そこで今回は現在のSIer市場について、現在もその業界に身を置く私なりの見解を述べようと思います。

SIer市場の動向について

大枠のビジネスモデルは変わらず?

これまでのSIer業界は大手SIerが元請け(一次請け)となり、中堅や零細に二次請け、三次請けとする多重請負構造が主なスタイルでした。もちろん開発対象システムの規模などにもよりますが、規模が大きい案件は比較的このような形態で開発することが慣習となっています。

また、上記に加えて1人1か月〇万円といった人月商売といわれるビジネスモデルが主流となっています。この形態は元請けが利益をピンハネしているという問題もありますが、体力(資金力)がない中堅・零細企業が大規模案件を一次請けとして受注すると万が一失敗した場合のリスク(企業の業績に与えるインパクト)が大きいことから、この形態に甘んじる事が多かったのです。

ただ、人月商売は売上や利益がある程度計算できる反面、どれだけ付加価値が高いシステムを開発しても1人〇万円という枠を超えることはありません。これでは大きな成長は望めません。識者によってはこのビジネスモデルは近い将来破綻するという人もいます。近年、少しづつですがこの慣習がゆっくりと変化していることを感じます。

中小企業の台頭

中堅・零細企業であっても高付加価値を生み出せる企業が次々と現れ、存在感を高めています。こういった企業は上述した人月商売ではなく、価値があるシステムに対して、その価値に見合う額で取引をしているところが比較的多いように感じます。

もちろん、大手SIerについてはしばらくは安泰でしょう。おそらく豊富な資金力を武器にM&Aを繰り返し、企業の価値を高めていくことと思います。ただ、先に挙げたような高い技術力がある中堅・零細企業の存在についても是非ご認識していただくとよいかと思います。

SIer市場の展望について

SIer市場はしばらくは堅調だと思いますがSIerを生業とする企業自体の業績は二極化していくでしょう。個人的には今後良い業績を残す可能性がある企業は以下の技術へ順応してく企業だと考えています。

  • AI
  • ビッグデータ
  • クラウド

IT業界は根本となる技術はあまり変わらなくてもトレンドとなるキーワードを生み出し、そのキーワードを用いて商売を行うというところがあります。しかし上記に挙げたようなワードは一時のバズワード(流行り言葉)ではなく、世界の常識を覆す可能性がある技術ばかりです。

既にアメリカの証券会社では、もともと数百名いた証券マンを全てAIに置き換え、より良い投資成績を残しているという事実もあります。単純に人月商売に甘んじる企業の未来は極めて暗いですが、上述した技術に順応し、新たな価値を提供できる企業にとっては明るい未来が待っていることでしょう。

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