2020/03/27更新

現役ITエンジニアが2019年のIT・WEB業界で気になったトピックを解説!

IT業界は様々な情報が日々飛び交っています。IT業界で働いていくために、そしてより価値が高い人材となるためには、常にIT業界の情報を収集し、整理することも重要です。そこで今回は現役ITエンジニアとして働いている筆者が、2019年に気になったトピックをトップ10をご紹介いたします。

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10位 Nextメルカリ

10位に選出したのは、Nextメルカリです。皆さんはユニコーン企業という言葉をご存知でしょうか?ユニコーン企業とは、創業10年以内の未上場企業、かつ評価額が1000億円を超える企業を指す言葉です。世界には約400近いユニコーン企業が存在すると言われています。その中の約200社がアメリカ、約100社が中国の企業だそうです。

残念ながら、我が国日本の企業はわずか3社しかありません。現在、日本で最も評価が高いのは、AI開発を事業とするプリファード・ネットワークスという企業です。プリファード・ネットワークスという企業をご存知無い方も多いと思いますが、トヨタ、NTT、日立などが続々と提携しているベンチャー企業です。

現在は上場したメルカリですが、かつてはメルカリもまたユニコーン企業でした。このような大手企業にも打ち勝つことができるベンチャー企業が日本で次々と誕生していけば、日本のIT業界も世界と戦える存在となるはずです。

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9位 システム障害

9位に選出したのはシステム障害です。今年はIT業界にとって苦難の連続でした。ゴールデンウイークは10連休という長期休暇となりました。また、平成から令和への元号切り替え、消費税増税などのように様々なものが変わる節目の年となりました。このような法律の改正やイレギュラーな出来事などは、私たちが見えないところで稼働しているサービスやシステムに大きな影響を与えています。

また、近年では様々な最先端技術が生まれていますが、1つのプロジェクトを見ても、AI、クラウド、IoTなどのように様々な要素を組み合わせてつくりあげていくため、その難易度はあがっていく一方となっています。このような状況であるため、2019年も様々なシステム障害が発生し、私たちの生活にも大きな影響を与えました。既にITシステムやサービスは、電気、ガス、水道といったものと並び、1つのインフラとして世界を支えているのです。

ITエンジニアはシステム障害と向き合うということでもあります。非常に大変な職業ではありますが、その分やりがいも非常に大きい仕事だと感じています。

8位 FIDO2

8位はFIDO2です。FIDOとは、Fast IDentity Online(素早いオンライン認証)の略語です。このFIDOは、現在認証方法の主流となっているパスワードに変わるものとして、大きな注目を集めています。これまでもパスワードという認証方法は限界を迎えていると言われていました。事実として、メールアドレスなどのIDとパスワードは、私たちが知らない間に漏洩し、ダークウェブなどで売買されています。

2019年12月には、約27億件のメールアドレスと10億件の平文のパスワード(暗号化されていない状態の文字列)が、誰もがアクセス可能な状態でインターネットに公開されていたとのことです。また、2019年7月にはクロネコヤマトのWebサービスがリスト攻撃(流出した可能性のあるIDとパスワードを利用して、Webサービスにログインを試みる手法)を受け、約3,400件の不正ログインが発生しています。

このように、ID&パスワードによる認証方式に対する信頼は既に失われつつあります。そこで2019年に発表されたのがFIDO2という認証方式です。FIDO2はWebなどでも生体認証を可能とする新たな認証方式です。おそらく、今後はFIDO2などの認証方式が急速に普及していくのではないでしょうか。

7位 AWS首位陥落

7位に選出したのは、2019年7月のAWS首位陥落というニュースです。現在では、クラウドサービスが広く普及しており、開発の現場では当たり前に採用される存在となりました。そのクラウドサービスを牽引してきたのが、Amazon社のAWS(Amazon Web Services)です。

Amazonが発表した2019年第3四半期の決算によれば、同社のクラウド事業は売上高が89億9500万ドル(35%増)、営業利益は22億6100万ドル(9%増)だったとのことです。2018年の決算を見ても、クラウドサービスは既に同社で最も利益を生み出す事業となっており、利益率も突出しています。

パブリッククラウドシェアについても長年トップを獲得していたAWSがとうとうその座をMicrosoftのAzureに譲ってしまったのかと業界では話題になりました。ただ、このニュースでいうクラウドサービスとは、パブリッククラウドだけではなくOffice365など法人向けSaaSも含まれています。Amazonは法人向けSaaSを持っていないため、広義の意味におけるクラウドサービスで首位の座から陥落してしまったということです。

ただ、AWSは2019年8月には大規模な障害も発生していますし、MicrosoftのAzureもAWSを猛追しています。さらには中国のAlibaba社などもシェアをじわりと伸ばしています。今後もクラウドサービスのシェア争いは、AWSを中心として激化していくことでしょう。

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6位 働き方改革

6位に選出したのは働き方改革です。2019年は働き方改革として様々なITサービスが注目される年となりました。2019年、最も働き方改革に寄与したITサービスはRPAではないでしょうか。RPAとはRobotic Process Automationの略語となります。その名の通り、ロボが様々な処理を自動化してくれるものです。ここでいうロボットとは人のような形をしたものや、工場などで見かけるアームがあるようなものではなく、ソフトウェアを指します。

日本は先進国の中でも生産性が低い国だと言われていますが、その背景には日常の様々な業務において無駄が多いという点が挙げられます。日本では様々なシーンで紙文化が根強く残っています。例えば、注文票や請求書など様々な資料が紙でやり取りされています。こういったものをデータ化するために、データ入力を1つ1つ手入力している企業が少なくありません。こういった日常業務に潜む無駄をなくすのがRPAの得意とするところです。

また、メール文化も日本の生産性を落としている要因の1つです。自身と決して関連性が高くない内容でもCCに追加されたり、返信を繰り返したり途中で脱線することで何を伝えたいのかがわからなくなってしまうといった具合です。そのようなケースには課題管理システムが非常に役に立ちます。今後日本が再び成長していくためには、まずこういった身近なところにあるたくさんの無駄についてITツールを活用して解消していくことが求められています。

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5位 5G

2020年、いよいよ5Gが本格的にスタートします。その前年として、2019年は通信各社が5Gのプレサービスをスタートしました。5Gの特徴は「高速・大容量」「低遅延」「多数端末接続」という特徴を持っています。この5Gという技術は、私たちが生活しているフィジカル世界と、インターネット上に構築されているデジタル世界を、高度に融合するキーとなるものです。

「高速・大容量」という特徴は、動画はもちろん、ARやVRといった大きいサイズのデータであっても一瞬で送受信することが可能となります。また、「低遅延」という特徴はリアルタイム性が格段に向上します。さらには「多数端末接続」という特徴は、大量のアクセスがあっても問題なく通信を確立することができるようになります。5Gで私たちの日常は大きく変化するかもしれません。

5Gのサービスとして最も良く挙げられるのがスポーツでしょう。選手のデータ、ピッチのデータ、試合会場のデータを一瞬で遠隔地へ送ることで、遠隔地の人はまるで自身がピッチに立っているかのような、あるいは選手がすぐ側にいるかのような臨場感溢れた映像を楽しめるようになります。また、自動運転や遠隔地医療といった人命に直結するようなシステムについても、5Gであれば実現できるはずです。このように5Gはフィジカル世界とデジタル世界の境界線を限りなく曖昧にしていくはずです。

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4位 リクナビ問題

4位に選出したのはリクナビ問題です。2019年8月、リクナビを運営しているリクルートキャリアは、学生の同意なしに個人情報を利用して内定辞退率を予測し、その情報を企業へ販売していたことが明らかになりました。個人情報の厳格な管理が求められる時代に、そのまま問題があるサービスをリリースしてしまうという杜撰な社内体制が問題視されることとなりました。

また、学生は就職活動の見方だと思っていたリクナビが、自らが知らないところでは「内定辞退率」という就職試験の合否に大きな影響を与えそうな情報を企業側へ提供しているという事実に対して「裏切られた」と感じる方が非常に多かったようです。もちろん、リクルートキャリアの愚行は批判されて然るべきだと思います。ただ、私はデータが大きな価値を持ちはじめた現代において、このような傾向はむしろ強くなっていくと考えています。

その最たる例はGAFAでしょう。GAFAは多くのサービスが無料で利用できる一方で、個人情報を活用した広告配信などで大きな利益を叩き出しています。では、そのWebサイトを運営するための資金はどこから出ているのでしょう。企業によっては、収集したビッグデータを販売しているケースも少なくないのです。現在、「個人情報は誰のものであるか」という議論が活発になっており、法整備も急速に進んでいます。ですが、私たち利用者自身も「個人情報」の価値を改めて考える必要がありそうです。

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3位 Fintech

2019年は日本でもFintechが大きく動いた年となりました。特にQRコード決済サービスは一気にシェアを広めました。町では老若男女問わずスマートフォンで決済をしている姿が当たり前になっています。また、2019年5月にはLINEとみずほ銀行がスマホ銀行を設立することを明らかにしました。

長い間、日本の金融業界で大きな影響力を誇っていた銀行ですが、現在その状況は変わりつつあります。特に少子化やマイナス金利政策の余波を受け、地方銀行は厳しい経営を強いられています。そのような中でIT企業がメガバンクを組み、銀行を設立するという事実は、今後ITが様々な業界に作用していくことを表しています。そしてITエンジニアが活躍するフィールドもまた無限の広がりを見せていくはずです。

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2位 過熱するIT人材獲得競争

2位に選出したのは、過熱するIT人材獲得競争です。経済産業省の発表によれば、日本は今後深刻なIT人材不足に陥っていくとのことです。具体的には2030年に、最大約79万人という要因が不足すると予測しています。昨今、政府発表の様々な統計は恣意的に改竄されている可能性があるため、信用に値しないという声も聞かれます。ただ、この件については、現在IT業界で働いている人であれば誰もが感じていることでしょう。

特に東京を中心とした首都圏のIT人材不足は顕著であり、どの企業も人材の獲得に苦戦している状況です。そのような状況の中で、各社とも優れた人材を確保するために待遇を見直す企業が増えています。ITエンジニアの収入が向上すれば、ITエンジニアになりたいと思う学生も増えるはずです。IT業界で働く1人として、この傾向がさらに続きITエンジニアの地位が更に向上していくことを願っています。

1位 みずほ銀行のシステム統合

2019年、日本のIT業界で大きなイベントがありました。それはみずほ銀行のシステム統合が遂に完了したのです。総工数は35万人月とも言われている世界的にも類を見ないほどのビッグプロジェクトは、完了までに構想から20年という時間と、アプリケーション開発だけで約4000億円という費用を費やすこととなりました。

みずほ銀行は、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行という3行の合併により誕生しました。その際、各行ではバラバラのシステムを使用していたのです。通常、合併時は最も優れているシステムを採用するケースが多いのですが、みずほ銀行の場合は3行のシステムの良いところをピックアップした新たなシステムをつくるという決断を下したのです。これによりシステムは複雑化し、何度もリリースの延期を繰り返すことになりました。

このシステム統合に関しては、何の障害もなくリリースすることは難しいのではないかと見るITエンジニアが多かったのですが、現時点では大きな障害もなく運用されているようです。日本のITは世界から見ても遅れていると言われていますが、トラブルなく運用しているという事実は、素直に称賛にすべきでしょう。

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まとめ

今回は2019年に気になったことトップ10をご紹介しました。振り返ってみると、2019年は様々な出来事が起こりました。2020年、IT業界にはどのような事が起こるのでしょうか?まだ、2020年がスタートして間もない時に、GoogleがSalesforceの買収を検討している?という報道も飛び込んできました。その買収額はなんと約27兆円になるとも言われています。この買収が成功した場合、世界のIT業界の勢力図は再び大きく塗り替えられることになるでしょう。2020年はIT業界にとって激動の年となりそうな予感がしています。

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